日本語教師のための公開研修講座

2003年(第19回)
日本語教育実践を再考する
― 教室活動における協働性をデザインする ―

7月5日(土)

午後1:00〜1:15
挨拶 (社)国際日本語普及協会理事長 西尾珪子

午後1:15〜4:30 (途中15分休憩)
言語発達のデザイン
−教室言語学習における「協働性」の構築と拡張−
石黒広昭
(北海道大学)

発達が起こるところには常に他者がいる。教室はそのような他者との共同性の中に営まれる。そこには教授者だけでなく、仲間がいる。だがこの「共同」とは一体何を示しているのだろうか。本講では状況論的アプローチを手掛かりに言語発達の社会歴史性を理解しながら、教室言語学習における「共同性」を捉え直す。そこから、言語発達の「協働的実践」のデザインについて考えてみたい。

7月6日(日)

午前10:00〜11:45
日本語作文学習におけるピア・レスポンスの実践
−作文教師の役割−
池田玲子
(お茶の水女子大学)

ピア・レスポンスは学習者同士のインターアクションを通して、批判的な思考の中での作文プロセスの創造を目指す活動である。教室での実現のために、作文学習における学習者と作文教師の位置づけについて検討したい。

午後1:00〜2:30
読解過程におけるピア・リーディングの実践
舘岡洋子
(東海大学)

読解の過程は外からは見えず個人的なものである。それを教室という集団の場で行うというのはどういう意味があるのか、どのような活動が個々の読みを促進するのかを検討する。

午後2:45〜4:15
実践の改革に向けて
石黒広昭
(北海道大学)
池田玲子(お茶の水女子大学)
舘岡洋子(東海大学)

受講者との質疑応答を交えて十分意見交換をし、実践の改革に向けて全員で検討する。

 

<参考文献>
佐伯胖・宮崎清孝・佐藤学・石黒広昭 (1998) 『心理学と教育実践の間で』 東京大学出版会
石黒広昭編 (2001) 『AV機器をもってフィールドへ:保育・教育・社会的実践の理解と研究のために』 新曜社
石黒広昭 (2002) 「フィールドリサーチにおける調査倫理 国立国語研究所編」 『日本語教育年鑑2002年版』 くろしお出版
池田玲子(1999)「ピア・レスポンスが可能にすること −中級学習者の場合−」『日本語教育叢書 世界の日本語教育』第9号国際交流基金 29-43.
池田玲子(1999)「日本語作文におけるピア・レスポンスの効果 −中級学習者の場合−」『言語文化と日本語教育』第17号お茶の水女子大学日本言語文化学研究会 36-47.
池田玲子(2001)「日本語作文教育におけるピア・レスポンスの研究」お茶の水女子大学大学院 博士論文
池田玲子(2002)「中上級を対象とする作文指導の方法」『日本語教育における学習の分析とデザイン 言語習得過程の視点から見た日本語教育』岡崎眸・岡崎敏雄 凡人社 105-107. 
大村彰道(監修)、秋田喜代美・久野雅樹(編集)(2001)『文章理解の心理学−認知、発達、教育の広がりの中で−』北大路書房
佐藤公治(1996)『認知心理学からみた読みの世界−対話と協同的学習をめざして−』北大路書房
舘岡洋子(2000)「読解過程における学習者間の相互作用−ピア・リーディングの可能性をめぐって−」『アメリカ・カナダ大学連合日本研究センター紀要』23号
舘岡洋子(2003)「読解授業における協働的学習」『東海大学留学生教育センター紀要』23号 近刊

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